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著者 : Pierre Menard
分類 : エッセイ
出版社 : Le Cherche Midi
本の種類 : ソフトカバー(12x1.5x20)
ページ数 : 184頁
かなり前にこのブログで紹介した「20 bonnes raisons d'arrêter de lire」読書を止めるべきもっともな20の理由」の著者による、ユーモアエッセイ。
タイトルから判断するに、「20 bonnes raisons d'arrêter de lire」と同様、まさに私が必要としている本である。
通常、多くの人により読み飛ばされる巻頭の献辞のページで抱腹絶倒。 今まで読んだ最も優れている(?)本の献辞である。
どうしたら知的に見えるかという難題にアプローチを試みている本書でも「20 bonnes raisons d'arrêter de lire」と同様、古今東西の文学作品からの抜粋や、有名人の発言をふんだんに盛り込まれている。
会話で使用する語彙、口調や、逸話や名著からの引用・・・等などに関するアドバイスから、口論での勝ち方、映画や読書のチョイス、そして挙げ句の果てには名前や職業に至るまで、知的に見えるためのふるまい方が指南されている。
ただ、タイトルには「Comment paraître intelligent」とあるが、本書はハウツー物ではないので、即戦力となる実践性はあまり期待できない。
しかし、
Le verbe aimer est difficile à conjuguer :
son passé n'est pas simple, son présent n'est qu'indicatif, et son futur toujours conditionnel.
- Jean Cocteau
(愛するという動詞は活用するのが難しい :
その過去は単純ではなく、その現在は徴候でしかなく、その未来は常に条件付きである)
- ジョン・コクトー
On dit "mon colonel" dans l'armée de terre mais seulement "amiral" dans la marine. La légende veut que Napoléon ait interdit l'emplois de "mon" (abréviation de monsieur) dans la Royale, trouvant les marins indignes d'être considérés commme des hommes après la défaite de Trafalgar.
(陸軍では(大佐の事を)「モン・コロネル」と呼ぶが、海軍では(モンを付けずに)「アミラル」と呼ぶ。 これは、トラファルガーでの敗戦の後、海軍はムッシューと呼ぶに値しないと考えたナポレオンが、ムッシューの略である「モン」の使用を禁止したからだと言われている)
On oublie sa faute quand on l'a confessée à un autre, mais d'ordinaire l'autre ne l'oublie pas.
- Nietsche
(罪を打ち明けた後、人はその罪を忘れてしまうが、打ち明けられた方は、概してそれを忘れはしない。
- ニーチェ)
Amitié : embarcation assez grande pour porter deux personnes par berau temps, mais une seule en cas de tempête.
- Ambrose Bierce
(友情 : 晴天では二人の人間を乗せられるほどの大きさがあるが、嵐のときは一人でしか乗る事の出来ない大きさの船。
- アンブローズ・ビアス)
などの、興味深く、実際に会話の中で使える名著からの引用や、トレビアンなどが豊富に盛り込まれているので、賢さとおバカさをネタにした、ユーモアエッセイを読みたいとお思いの方は、本書を片手に楽しいときを過ごせるのは間違いない。
それにしても、本書で引用されている著作の豊富さには、「20 bonnes raisons d'arrêter de lire」を読んだときと同様、圧倒された。
副題に『ou Petit bréviaire destiné à ceux qui ne le sont pas, écrit par quelqu'un qui aurait besoin de le lire(もしくは、本書を読む必要のある人間によって書かれた、知的でない人達へ向けのミニ虎の巻)』とあるが、本書を読み終わり、私には、どうにも著者が『quelqu'un qui aurait besoin de le lire(本書を読む必要のある人間)』ではない様に思えて仕方がない。
これが単なる謙遜であるのか、はたまた本書のアドバイスを実施した結果なのか、非常に気になるところである。
【こんな人にお勧め】
知的な会話をしてみたい方。 名著の引用をふんだんに盛り込んだユーモアエッセイを読みたい方。 「20 bonnes raisons d'arrêter de lire」が気に入られた方。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 4/5
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
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