フランスの Ain 県にある Ravil 大学の日本語学科の3年生の生徒たちが『Tout ensemble pour Manga』という、日本語の漫画の翻訳プロジェクトを立ち上げ、話題になっています。
これは、日本語学科の教授である Brochet 氏が、日本語学科3年生の授業の一環として行った、1冊の漫画本の中の1~3頁を各生徒に振り分け、翻訳させ、その後授業でそれを訂正し、一冊の翻訳本として完成させる、という試みから始まったとの事です。 「漫画とはいえ、本一冊を訳すのは大変ですが、2、3頁なら学生でも、翻訳ができるのではないかと考えた」と教授は明かします。
初めは、各生徒が訳した翻訳を持ち寄り、それを授業で、教授が生徒たちと共に訂正、校正するという方法が取られました。 それが、とても上手く行ったため、次は、各自が訳した翻訳を交換し、訂正した物を、最終的に授業でチェックするという方式に変更しました。
「インターネットのおかげて、難しいと思われた言い回しや俗語もちゃんと翻訳出来ており、訂正するところは、ほとんどなく、手を入れたのは、必殺技の名など特殊なボキャブラリーを統一するだけだった」と教授は語ります。
その後、3年生の学生たちが中心となり、2年生と一部の一年生、そして大学以外の日本語学習者や、在仏邦人らの協力を得、本格的にプロジェクト『Tout ensemble pour Manga』が始まりました。
授業で用いた漫画は、著作権の関係で、出版を断念したそうですが、現在の所、絶版マンガ図書館で公開されている作品や、ウェブ漫画など、生徒たちが直接、著者と交渉し、翻訳の許可を得た漫画30点余りの翻訳が、この『Tout ensemble pour Manga』のサイトで公開されています。
「従来のシステムなら出版されることのない作品に的を絞っているので、出版社の市場を侵すことはない。 むしろより多くのフランス人に、日本の漫画を知ってもらう手助けになると思う」と、プロジェクトの代表者の一人である Alevin Vilard 君。
そして、「今度は、翻訳のアドヴァイスをしてくれた日本人の友達と共に、同様の方法で、フランス語の漫画を日本語に訳すプロジェクトを立ち上げる予定だ」と、述べています。
このプロジェクトに参加したい日本人を募集しているとの事ですので、参加希望者、もしくは『Tout ensemble pour Manga』プロジェクトに自分の漫画の翻訳を許可してもいいとお思いの漫画家の方は、『Tout ensemble pour Manga』プロジェクトのサイト(フランス語)をのぞいてみて下さいね。
【外部リンク】
『Tout ensemble pour Manga』公式サイト
2016年4月13日に追記を追加。 2016年4月15日に巻頭の限定記事に関する記述を追加
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