「Le complexe de Di 」
著者 : Sijie Dai
出版社 :Folio
本の種類 : ペーパーバック
ページ数 : 398頁
フランスに留学して、フロイト派の精神分析学を勉強した、ちびで、ド近眼のさえない中国人男の Muo が、この小説の主人公。 しかし、 このヒーロー、ドジで夜汽車の中で、回想にふけっている間に、座っていた席は取られるは、
荷物どころか、靴まで盗まれてしまいます。
帰国して、精神分析師として、開業しようとしますが、精神分析の事など、誰も聞いたことのない、中国の田舎では、これが、なかなか思った様には行きません。 それでも、Muo は、母親の箪笥から失敬した布と、父親の釣竿で、
看板代わりの旗を作り、それを、自転車に、くくりつけて、村々を回り、精神分析医として夢判断の診察を始めます。
だけど、Muo の苦労は、それだけじゃなかったのです。 帰国したMuo を待ち受けていたのは、
「大学時代に思いを寄せた、Volcan de la Vieille Lune という女性が、中国人警官が容疑者を拷問している写真を撮って外国の新聞社に売ったため、警察に捕まり、現在、起訴中」 という知らせ。
Muo は、Volcan de la Vieille Lune を刑務所から救い出そうと、奔走します。 四苦八苦の末、つてを辿り、Volcan de la Vieille Lune の事件を担当している判事に会ってみると、袖の下が良く効くと評判の、この判事、
「お金は、有り余ってるので、代わりに、処女がいい」
なんて事、言い出したので、大変。
Volcan de la Vieille Lune を助けるためならと、Muo は、精神分析医として夢判断をしながら、処女を探そうと、若い女の子がたくさん集まる、求職市場で開業しようとします。 市場を管理している、マーガレット・サッチャ女史を思わせる女性警官に、取り入って、開業の許可を得て、精神分析医として診察を始めたのは、いいのですが、・・・
著者は、小説家、兼、映画監督の中国出身のフランス人。 そのせいか、作品は、とても映像的、読んでいて、Muo が、中国を駆け回る光景が目に浮かんできます。 そんな映像的な文章で、ドジでさえない Muo が中国社会で、獅子奮迅する様子がコミカルに描かれます。 Muo が遭遇する事件や人物を通して、中国社会への強烈な風刺が「母国をこんなに、けなしてしまって、本当にいいの?」と、心配したくなる程、後から、後へと登場してきます。
ドジで、さえない、Muo ですが、あばたの女性警官、葬儀屋で死体処理を担当している未亡人、田舎から出稼ぎに来た少女等など、次から次へと女性と係わり合いが出来、まったく、このヒーローついているんだか、ついていないのか、
よく判らなくなってきます。
「いくら、Volcan de la Vieille Lune を救い出すためとはいえ、おいおい、Muo、結婚の約束なんかしちゃっていいの?」
そんな読者の心配も耳に入らないほど、一心不乱に処女を探して歩く、中国版ドン・キホーテーの物語の本書は、2003年にフェミナ賞(Prix Femina)を受賞しています。
【こんな人にお勧め】
【きわめて個人的な本の評価】
【関連記事】
【外部リンク】
2010年6月27日に一部加筆修正。 2013年4月10日にレイアウト修正。
著者 : Sijie Dai
出版社 :Folio
本の種類 : ペーパーバック
ページ数 : 398頁
フランスに留学して、フロイト派の精神分析学を勉強した、ちびで、ド近眼のさえない中国人男の Muo が、この小説の主人公。 しかし、 このヒーロー、ドジで夜汽車の中で、回想にふけっている間に、座っていた席は取られるは、
荷物どころか、靴まで盗まれてしまいます。
帰国して、精神分析師として、開業しようとしますが、精神分析の事など、誰も聞いたことのない、中国の田舎では、これが、なかなか思った様には行きません。 それでも、Muo は、母親の箪笥から失敬した布と、父親の釣竿で、
看板代わりの旗を作り、それを、自転車に、くくりつけて、村々を回り、精神分析医として夢判断の診察を始めます。
だけど、Muo の苦労は、それだけじゃなかったのです。 帰国したMuo を待ち受けていたのは、
「大学時代に思いを寄せた、Volcan de la Vieille Lune という女性が、中国人警官が容疑者を拷問している写真を撮って外国の新聞社に売ったため、警察に捕まり、現在、起訴中」 という知らせ。
Muo は、Volcan de la Vieille Lune を刑務所から救い出そうと、奔走します。 四苦八苦の末、つてを辿り、Volcan de la Vieille Lune の事件を担当している判事に会ってみると、袖の下が良く効くと評判の、この判事、
「お金は、有り余ってるので、代わりに、処女がいい」
なんて事、言い出したので、大変。
Volcan de la Vieille Lune を助けるためならと、Muo は、精神分析医として夢判断をしながら、処女を探そうと、若い女の子がたくさん集まる、求職市場で開業しようとします。 市場を管理している、マーガレット・サッチャ女史を思わせる女性警官に、取り入って、開業の許可を得て、精神分析医として診察を始めたのは、いいのですが、・・・
著者は、小説家、兼、映画監督の中国出身のフランス人。 そのせいか、作品は、とても映像的、読んでいて、Muo が、中国を駆け回る光景が目に浮かんできます。 そんな映像的な文章で、ドジでさえない Muo が中国社会で、獅子奮迅する様子がコミカルに描かれます。 Muo が遭遇する事件や人物を通して、中国社会への強烈な風刺が「母国をこんなに、けなしてしまって、本当にいいの?」と、心配したくなる程、後から、後へと登場してきます。
ドジで、さえない、Muo ですが、あばたの女性警官、葬儀屋で死体処理を担当している未亡人、田舎から出稼ぎに来た少女等など、次から次へと女性と係わり合いが出来、まったく、このヒーローついているんだか、ついていないのか、
よく判らなくなってきます。
「いくら、Volcan de la Vieille Lune を救い出すためとはいえ、おいおい、Muo、結婚の約束なんかしちゃっていいの?」
そんな読者の心配も耳に入らないほど、一心不乱に処女を探して歩く、中国版ドン・キホーテーの物語の本書は、2003年にフェミナ賞(Prix Femina)を受賞しています。
【こんな人にお勧め】
中国を舞台にした、ユーモアのある小説を読んでみたいとお思いの方。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 3.5/5
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
【関連記事】
【外部リンク】
2010年6月27日に一部加筆修正。 2013年4月10日にレイアウト修正。
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