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1917年5月、連合軍の諜報部員 Jan Van Meer は、行方不明の兵器設計技師 Hellequin の行方を捜査せよとの任務を受ける。 しかし、この任務の真の目的は、敵の注意を Hellequin にひきつけるカモフラージュであるため、Hellequin の追跡捜査は行うものの、決してHellequin を見つけてはいけない、という条件がついていた。
ところが、上官の命令に従い、ロンドンに赴き、捜査を始めるフリをする事になった Jan Van Meer は、ロンドンの通りを歩いている時に、Hellequin から、声をかけられてしまう。
第1次大戦を舞台に展開する、奇妙なユーモアに彩られた独創的なフランス漫画。
夢というのは、人間の脳の掃除する役割を持っているので、人は夢を見る事が出来なくなると発狂する」という定義に基づき発明された夢を破壊する『Canon à rêves』
植物と鋼を融合させて作った、敵の前進を阻み、人間や建築物を覆いつくし、破壊に導く、成長する鉄のいばら『Barbelé vampire』
じゃがいもで作られた肉体に、電気で命を吹き込んだ、輸送不要の食料兼兵士 『Homme de terre』
等々、次々と不可解な発明をしたあげく、廃墟に残されたアルファベットを組み合わせて解読すれは、『戦争』が、我々に何を語りかけようとしているのか理解出来ると信じ込み、その検証のため姿を消した、天才設計士 Hellequin、
Hellequin を、本当は見つけたくないのだけど、神出鬼没の Hellequin 博士に、いつも、見つかってしまう気の毒な Jan Van Meer 諜報員、
この二人をを中心に、ドイツ軍のスパイとしに雇われている、おかしなギャングの父娘などが絡んでくりひろげられる奇想天外な物語。
常識を木っ端微塵にぶっ飛ばす、強烈な想像力により形成されている、荒唐無稽とは正にこの事、と言いたくなる、ぶっ飛んだストーリーなのですが、グラフィック、そして漫画化手法が卓逸しているため、自然とストーリーに引き込まれてしまいました。
決して悲壮感に陥る事なく、戦争のおぞましさを抽象化して漫画という形で表現した佳作だと思いました。
本書は、2002年アングレーム国際漫画フェスティヴァルの『Alph-Art du meilleur album(最優秀作品賞)』の候補作品に選ばれました。
【こんな人にお勧め】
独創的な漫画を読みたい方。 戦争をブラックユーモアで描いた漫画を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 | : | 3.5/5 | |
ストーリー | : | 3.5/5 | |
グラフィック | : | 3/5 | |
彩色 | : | 3/5 | |
ストーリーボード | : | 4/5 | |
フランス語難易度 | : | 2/5 | (易<難) |
読みごこち | : | 4/5 | (難<易) |
2010年9月06日に一部加筆修正。
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