
著者 : Jaime Martin
出版社 : Dupuis
本の種類 : ハードカバー(24x1x32)
ページ数 : 72頁
1916年のロシア。 戦争反対のデモに参加したモスクワの医大生の Alexsandre は、警官から暴行を受けている親子を助けるため、警官を旗棒で殴ってしまう。 Alexsandre の身を案じた医大の教授は、警察の捜査を避けるため、Alexsandre を、北部の村にある診療所の所長のポストに任命する。
そして、長い困難な旅を経て、任務地へ到着した Alexsandre は、病院の設備が想像していた以上に整っているのに驚く。 ところが、迷信深く、現代医学に不審を抱いており、Alexsandre の若さのため、彼が信頼に値しないと判断した村人達は、決して診療所へ足を運ぼうとしない。
村人達の信用を得るため、Alexsandre は、看護婦と共に一軒一軒の家を訪問して回ったが、事態は一向に向上しない。 そんなある夜、ジフテリアにかかり、呼吸困難に陥った瀕死状態の娘を連れて、母親が診療所へやって来る。
くっきりと縁取りされた、版画を思わせる太い輪郭が印象的なグラフィック。 細かく描き込まれている絵柄ではないのですが、背景の着色の仕方などの細部にこだわりが感じられる漫画です。 この着色法や、描き方によっては、グロテスクで、悪趣味になってしまうタイプのストーリーを品良くまとめた所などに、優れた漫画家としてのセンスが感じられました。
そして、コマ内のレイアウトの仕方はもちろんの事、ストーリーボードの構成が上手いので、ただ、ページをめくってふきだしを読んでいるだけで、難なくストーリーを理解できるだけでなく、作中人物達の心情がビンビンと伝わって来ます。
ホラーがかったミステリーとでも形容したくなるストーリーは、お話そのものは、どちらかというと平凡。 しかしながら、漫画化の仕方が大変優れているので、なかなか読ませる作品に仕上がっています。
本書に、著者のサイト(http://www.jaimemartin.info/)のアドレスが載っていたので、アクセスしてみてビックリ!
なんと、Jaime Martin 氏は、スペイン人漫画家で、本書もスペイン語で書かれた漫画だったのです。 ところが、本の隅から隅まで探したけれど、翻訳者に関しての記述は皆無。 フランスの大手のBD出版社ですら、こんないい加減な事が許されてしまうという事実には、呆れて、開いた口がふさがりませんでしたね。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 : 3.5/5
ストーリー : 2.5/5
グラフィック : 3.5/5
カラーリング : 4.5/5
ストーリーボード : 4.5/5
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
ストーリー : 2.5/5
グラフィック : 3.5/5
カラーリング : 4.5/5
ストーリーボード : 4.5/5
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
2010年10月05日に一部加筆修正。 2017年11月30日にレイアウト修正。
2010年10月05日に一部加筆修正。
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