
監修 : Thierry Groensteenl
分類 :
出版社 : BNF & Seuil
本の種類 : ソフトカバー(25x2x34)
ページ数 : 207頁
【概要】
フランス国立図書館で、2000年10月10日~2001年1月7日に行われた、ヨーロッパ漫画展『Maître de la bande dessinée européenne』展に併せて、カタログとして刊行された本。
1800年代~1999年のヨーロッパの漫画の代表作が、12名の歴史家及び専門家により、テーマ別に、紹介されている。
本書の序章というべき、フランス国立図書館館長で、アカデミー・フランセーズの会員である、Jean-Pierre Angremy 氏による『はじめに』。 そして、アングレム漫画美術館の館長のティエリ・グルンステン氏による『ヨーロッパの文化遺産、第9番目の芸術ー漫画』。
それに続き、ヨーロッパ漫画の歴史の概要がコンパクトにまとめられている、6頁からなる『Chronologie comparée』と題された年表が掲載されている。
この年表は、横軸に『フランス』『仏語圏・ベルギー及びスイス』『フランドル地方・オランダ』『ドイツ・オーストリア・ドイツ語圏スイス』『イギリス』『スペイン』『伊』『その他の国』の8項目、そして、縦軸が、『1800』『1900』「1910』『1920』・・・の年代になっており、ヨーロッパ各国の漫画の代表作を俯瞰する出来る。
それから、本章というべき、16章からなる、年代別、テーマ別のヨーロッパ漫画の代表作の紹介(詳細は下記の目次を参照の事)
補足資料。
という構成になっている。 展覧会のカタログ的な本という事もあり、豊富な作品の抜粋が掲載されている。
1800年代~1999年のヨーロッパの漫画の代表作が、12名の歴史家及び専門家により、テーマ別に、紹介されている。
本書の序章というべき、フランス国立図書館館長で、アカデミー・フランセーズの会員である、Jean-Pierre Angremy 氏による『はじめに』。 そして、アングレム漫画美術館の館長のティエリ・グルンステン氏による『ヨーロッパの文化遺産、第9番目の芸術ー漫画』。
それに続き、ヨーロッパ漫画の歴史の概要がコンパクトにまとめられている、6頁からなる『Chronologie comparée』と題された年表が掲載されている。
この年表は、横軸に『フランス』『仏語圏・ベルギー及びスイス』『フランドル地方・オランダ』『ドイツ・オーストリア・ドイツ語圏スイス』『イギリス』『スペイン』『伊』『その他の国』の8項目、そして、縦軸が、『1800』『1900』「1910』『1920』・・・の年代になっており、ヨーロッパ各国の漫画の代表作を俯瞰する出来る。
それから、本章というべき、16章からなる、年代別、テーマ別のヨーロッパ漫画の代表作の紹介(詳細は下記の目次を参照の事)
補足資料。
という構成になっている。 展覧会のカタログ的な本という事もあり、豊富な作品の抜粋が掲載されている。
【読み心地】
かなりしんどい。
【読後感】
ヨーロッパ漫画に名を残した漫画家の作品を、テーマ、時代ごとに、紹介したヨーロッパ漫画の研究者及び、ヨーロッパ漫画の歴史を勉強してみたい人向けの本。
漫画は、あくまでも娯楽の一環で、研究対象でない私には、過去の遺物としか思えない、私が苦手なタイプの漫画が扱われている前半から中盤にかけては、あまり興味が持てなかった。 一般教養として、知っておいて損はないと思うものの、読んだけど好きになれなかった作品や、かったるいなぁと思う作品や、決して読む気になりそうにもない、作品について延々と述べられているので、飛ばし読みしてしまった。
しかし、後半の現代に近い時代に書かれた作品を扱った部分には、「これ、面白そう!どうして、図書館に入ってないのぉ」 等と、かなり食指を動かされる作品が、かなり紹介されていた。
それでも、今まで、フランス人漫画家だとばかり思っていた漫画家が、実は、フランス人でない事が判明したりして、かなり勉強になった。 フランス語圏のベルギーやスイスの作品の場合、著者の国籍が明記されていないのは、まだわかるものの、フランスで出版されている漫画の中には、翻訳本でも、訳者の名前が書かれていない事があるので、これからは、ブログに書く前、いちいち国籍を調べねばならないと、反省した。 そんな事から、このブログの副題にある『BD(フランス漫画)』を、『BD(ヨーロッパ漫画)』に改めた。
ただ楽しみのため、漫画を読んでいる者には、しんどいタイプの本だが、漫画研究及び、ヨーロッパ漫画の歴史を知る上で、かなり役に立つ本なので、ヨーロッパ漫画への関心が高まり、漫画研究が盛んになりつつある日本でも、是非紹介してもらいたい一冊である。
漫画は、あくまでも娯楽の一環で、研究対象でない私には、過去の遺物としか思えない、私が苦手なタイプの漫画が扱われている前半から中盤にかけては、あまり興味が持てなかった。 一般教養として、知っておいて損はないと思うものの、読んだけど好きになれなかった作品や、かったるいなぁと思う作品や、決して読む気になりそうにもない、作品について延々と述べられているので、飛ばし読みしてしまった。
しかし、後半の現代に近い時代に書かれた作品を扱った部分には、「これ、面白そう!どうして、図書館に入ってないのぉ」 等と、かなり食指を動かされる作品が、かなり紹介されていた。
それでも、今まで、フランス人漫画家だとばかり思っていた漫画家が、実は、フランス人でない事が判明したりして、かなり勉強になった。 フランス語圏のベルギーやスイスの作品の場合、著者の国籍が明記されていないのは、まだわかるものの、フランスで出版されている漫画の中には、翻訳本でも、訳者の名前が書かれていない事があるので、これからは、ブログに書く前、いちいち国籍を調べねばならないと、反省した。 そんな事から、このブログの副題にある『BD(フランス漫画)』を、『BD(ヨーロッパ漫画)』に改めた。
ただ楽しみのため、漫画を読んでいる者には、しんどいタイプの本だが、漫画研究及び、ヨーロッパ漫画の歴史を知る上で、かなり役に立つ本なので、ヨーロッパ漫画への関心が高まり、漫画研究が盛んになりつつある日本でも、是非紹介してもらいたい一冊である。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 4/5
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 2/5(難<易)
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 2/5(難<易)
【本書の目次】
『Préface』 --- Jean-Pierre Angremy
『Le patrimoine européen du neuvième art』 --- Thierry Groensteen
『Chronologie comparée』
『Un rêve américain』 --- Philippe Videlier
『Le siècle de la satire』 --- Thierry Groensteen
『Imagiers de l'enfance』 --- Annie Renonciat
『L'avenement de la ligne claire』 --- Pierre Sterckx
『L'apogée Franco-Belge』 --- Vincent Baudoux
『Classiques de l'aventre』 --- Thierry Groensteen
『Bas-Résille, bon à rien, et cousins étrangers : la bande dessinée quotidienne en Europe』
--- Harry Morgan
『Animaux en crise』 --- Harry Morgan
『Lointain Far West』 --- Gilles Ciment
『L'absurde pour l'absurde : une tradition du délire』 --- Jean-Claude Glasser
『Cauchemars et fantasmes : tempo vivace pour quatuor italien』 --- Hean-François Douvry
『Les maître des autres mondes』 --- Nicolats Finet
『L'esprit de dérision』 --- Vincent Baudoux
『Les arpenteurs du rêve』 --- Jean-Pierre Mercie
『L'hisoire en noir et blanc』 --- Philippe Videlier
『La voie romanesque』 --- Laurent Gerbier
『Mondes intérieurs』 --- Jean-Philippe Martin
『Cinq sénaristes』
『Index des auteurs, titres, héros de BD et auteurs noms cités』
『Notices des pièces exposées non reproduite dans le cathalogue』
『Crédits photographiques』
『Bibliographie générale』
『Le patrimoine européen du neuvième art』 --- Thierry Groensteen
『Chronologie comparée』
『Un rêve américain』 --- Philippe Videlier
『Le siècle de la satire』 --- Thierry Groensteen
- Caran d'Ache(フランス)
- Oskar Andersson(スウェーデン)
- R. Bordalo Pinheiro(ポルトガル)
- Rodilphe Töpffer(スイス)
- Wilhelm bush(ドイツ)
『Imagiers de l'enfance』 --- Annie Renonciat
- Antonio Rubino(イタリア)
- Christophe(フランス)
- Mary Tourtel(イギリス)
『L'avenement de la ligne claire』 --- Pierre Sterckx
- Alain Saint-Ogan(フランス)
- Edgar Pierre Jacobs(ベルギー)
- Hergé(ベルギー)
- Joost Swarte(オランダ)
『L'apogée Franco-Belge』 --- Vincent Baudoux
- André Franquin(ベルギー)
- Joseph Gillain(ベルギー)
- Albert Uderzo(フランス)
『Classiques de l'aventre』 --- Thierry Groensteen
- Franco Caprioli(イタリア)
- Jesùs Blasco(スペイン)
- Hans Kresse(オランダ)
- Frank Bellamy(イギリス)
- René Giffy(フランス)
- Julio Radilovic(ユーゴスラビア)
『Bas-Résille, bon à rien, et cousins étrangers : la bande dessinée quotidienne en Europe』
--- Harry Morgan
- Storm P.(デンマーク)
- E. O. Plquen(ドイツ)
- Martin Toonder(オランダ)
- Marc Sleen(ベルギー)
- Bob Van Den Born(オランダ)
- Paul Gillon(フランス)
- James Holdzay(イギリス)
- Reginald Smythe(イギリス)
- Régis Franc(フランス)
『Animaux en crise』 --- Harry Morgan
- Benjamin Rabier(フランス)
- Edmond F. Calvo(フランス)
- Raymond Macherot(ベルギー)
- Trog(イギリス)
- Vilhelm Hansen(デンマーク)
『Lointain Far West』 --- Gilles Ciment
- Jean Giraud(フランス)
- Hermann(ベルギー)
- Derib(スイス)
『L'absurde pour l'absurde : une tradition du délire』 --- Jean-Claude Glasser
- Benito Jacovitti(イタリア)
- Luciano Bottaro(イタリア)
- Léo Baxendale(イギリス)
- Hunt Emerson(イギリス)
- Gotlib(フランス)
『Cauchemars et fantasmes : tempo vivace pour quatuor italien』 --- Hean-François Douvry
- Guido Crepax(イタリア)
- Dino Battaglia(イタリア)
- Guido Buzzelli(イタリア)
- Sergio Toppi(イタリア)
『Les maître des autres mondes』 --- Nicolats Finet
- François Schuiten(ベルギー)
- Moebius(フランス)
- Sidney Jordan(イギリス)
- Philippe Druillet(フランス)
- Enki Bilal(フランス)
『L'esprit de dérision』 --- Vincent Baudoux
- Claire Bretécher(フランス)
- Francis Masse(フランス)
- Reiser(フランス)
- Ralf Kônig(ドイツ)
『Les arpenteurs du rêve』 --- Jean-Pierre Mercie
- Fred(フランス)
- Tove Jansson(フィンランド)
- Jean-Claude Forest(フランス)
- Max(スペイン)
『L'hisoire en noir et blanc』 --- Philippe Videlier
- Hugo Pratt(イタリア)
- Jacques Tardi(フランス)
『La voie romanesque』 --- Laurent Gerbier
- Ruben Pellejero(スペイン)
- Cosey(スイス)
- Miguelanxo Prado(スペイン)
- Loustal(フランス)
『Mondes intérieurs』 --- Jean-Philippe Martin
- Andrea Pazienza(イタリア)
- Edmond Baudoin(フランス)
- Lorenzo Mattotti(イタリア)
- Dave McKean(イギリス)
『Cinq sénaristes』
『Index des auteurs, titres, héros de BD et auteurs noms cités』
『Notices des pièces exposées non reproduite dans le cathalogue』
『Crédits photographiques』
『Bibliographie générale』
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 4/5
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 2/5(難<易)
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 2/5(難<易)
【外部リンク】
BNFの『Maître de la bande dessinée européenne』展のページ(本書とは内容が異なっています)
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著者 : Christian De Metter
原作 : Fabrice Caro
出版社 : Casterman
本の種類 : ハードカバー(24x1x32)
ページ数 : 72頁
【概要】
葬式、パーティー等に、知人を装って参列する人材を派遣する『Figurec』という秘密結社と関わる事になった、売れない劇作家が主人公の Fabrice Caro の小説の漫画化。
【ストーリー】
戯曲を執筆中の主人公は、葬式に参列した折に、見知らぬ男から声をかけられる。 初めは、この奇妙な男を避けようとしたものの、男の話を聞いているうちに、主人公は、この男が所属する、葬式、パーティー等に、知人を装った人材を派遣する『Figurec』という秘密結社に興味を持つようになる。
オリジナリティー溢れる、奇妙なストーリー。
オリジナリティー溢れる、奇妙なストーリー。
【作画・彩色】
直接彩色法で描かれた水彩風の、美しいグラフィック。 水彩手法を使用したグラフィックには珍しく、表情が良く表現されており、人物の顔の描き分けもしっかりなされている。
【ストーリーボード(ネーム)】
ふきだしに書き込まれたテキスト部分でストーリー進行がなされ、グラフィックは、その補足。 絵を見ながらテキストを追って行くだけで、ストーリーが自然に理解できる様漫画化されている。
【読み心地】
まずまず。
【読後感】
クラシックなBD手法でストーリーボードが構成されているが、テキスト部分の配分が上手いので、快適な読み心地を得ることが出来た。
オリジナリティーに富んだ奇妙なストーリーは、なかなか楽しめたが、漫画では表現しきれていない所があるように感じられたので、原作を読みたくなった。
オリジナリティーに富んだ奇妙なストーリーは、なかなか楽しめたが、漫画では表現しきれていない所があるように感じられたので、原作を読みたくなった。
【こんな人にお勧め】
水彩風な美しいグラフィックの漫画を読みたい方。 風変わりなストーリーの漫画を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 : 4/5
ストーリー : 4/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 5/5
ストーリーボード : 3/5
フランス語難易度 : 2.5/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
ストーリー : 4/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 5/5
ストーリーボード : 3/5
フランス語難易度 : 2.5/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
2013年5月28日にレイアウト修正。
- Category
- サスペンス・ホラー系BD
- Thread
- ジャンル : 本・雑誌
- テーマ : フランス漫画(BD)

著者 : Cyril Bonin
分類 : ファンタスティック系漫画
原作 : Marcel Aymé
出版社 : Futuropolis
本の種類 : ハードカバー(22x1x29)
ページ数 : 56頁
【概要】
突然、イケメンに変身してしまった、平凡な男の当惑を描いたマルセル・エメ氏の短編の「第二の顔(La Belle Image)」の漫画化。
【ストーリー】
ある日、証明書を発行しようとした Raoul Cérusier は、窓口の係員から、身分証明写真が、本人のものでないので証明証を発行する事は出来ないと断られ、憤慨する。 係員と、その上司のとりつくシマものない態度を前に、やむを得ず引き下がった Raoul 、は、ショーウィンドーに移る自分の姿を目にし、驚愕する。 彼の顔は、全く見覚えのない、別人、しかもイケメンになっていたのだった。
【グラフィック・彩色】
大きめの目と、口の描き方に特徴があるものの、コミックス特有のアクが感じられない、好感の持てるグラフィック。 セピアとグリーン系を基調とした彩色で、センス良くまとめられている。 悪くはないのだが、グラフィック、彩色法とも、いささか、平坦であるように感じられた。
【ストーリーボード(ネーム)】
ふきだしのテキストでストーリー展開がなされる、クラシックなフランス漫画の手法で漫画化されているが、絵を見ながらふきだしを読んでいるだけで、自然とストーリーが理解出来た。
【読み心地】
快適
【読後感】
マルセル・エメ氏の偉大さを再認識させらる巧緻なストーリーを、巧みに漫画化した、なかなかオツな一冊。 陳腐なストーリーのBDに辟易していた所なので、かなり楽しむ事が出来た。 マルセル・エメの短編小説には、漫画にしたら、面白くなるのでは・・・という作品がこの他にもあるので、日本の漫画家の方にも取り上げてもらいたいなぁ・・・などと、思った。 マルセル・エメ氏の作品をを知らない日本の若い読者に、紹介して貰いたい一冊である。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 : 4/5
ストーリー : 5/5
グラフィック : 3.5/5
カラーリング : 3.5/5
ストーリーボード : 3.5/5
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 4.5/5(難<易)
ストーリー : 5/5
グラフィック : 3.5/5
カラーリング : 3.5/5
ストーリーボード : 3.5/5
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 4.5/5(難<易)
【外部リンク】
本書の一部を試読できるアマゾン・フランスの「La belle image
」のページ
2013年5月28日にレイアウト修正。
00:51
著者 : Delphine de Vigan
出版社 : Le Livre de Poche
本の種類 : ペーパーバック
ページ数 : 149頁
恋愛小説は、あまり好きでないのだけれど、Delphine de Vigan さんの書いた本なら、読んでもいいなぁ・・・と、思い、手にとった一冊。 恋する女性のモノローグで構成されている、通常は、数十頁で挫折するタイプの小説なのにも関わらず、一気に最後まで読み下してしまったのは、恋する女性の心理を、機敏かつ、正確に、文章に移し変えたその筆力のおかげ。
そのまま読むと、最初のお話以外は、ストーリー自体は、特筆する事がない、甘ったるい恋のお話。 しかし、作中言及されているのではないけれど、続く2編も、最初のお話の流れを汲んでいる、と想像して読むと、思いも寄らない滋味が出てくる。 そんな訳で、私は、そこの所、ちゃんと書いた方が良かったのではないかと思ったけれど、それでは、恋愛小説ファンは、納得しないので、こういう形に落ち着いたのかもしれない。
【こんな人にお勧め】
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 3/5
フランス語難易度 : 2.5/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
フランス語難易度 : 2.5/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
【関連記事】
2013年4月28日にレイアウト修正。
- Category
- 小説・エッセイ・ノンフィクション
- フランス語レベル中級向け

著者 : Julie Maroh
出版社 : Glénat
本の種類 : ハードカバー(22x1x32)
ページ数 : 56頁
【概要】
町ですれ違った、髪の毛をブルーに染めた Emma に、一目惚れし、自分がレズビアンである事に気づいた高校生 Clémentine の軌跡を、彼女の日記という形でセンシブルに描いた、2011年アングレム国際漫画祭『Prix du Public(読者賞)』及び『Prix FNAC SNCF(FNAC(仏チェーン書店)+SNCF(フランス国鉄)賞)』受賞作品。
2013年カンヌ映画祭で『パルム・ドール』を受賞した、アブデラティフ・クシシュ(Abdellatif Kechiche)監督の「La vie d'Adèle(英語タイトル : Blue Is The Warmest Color)」の原作。
2013年カンヌ映画祭で『パルム・ドール』を受賞した、アブデラティフ・クシシュ(Abdellatif Kechiche)監督の「La vie d'Adèle(英語タイトル : Blue Is The Warmest Color)」の原作。
『ストーリー】
ごく普通の家庭に生まれ、友人が羨む年上の恋人がいるものの、Clémentine は、どうしても恋人と一線を越えることが出来ない。 町ですれ違った髪を青く染めたの女性に妄想し、Clémentine は、自分が女の子に惹かれている事を自覚する。 そんな Clémentine に気持ちを打ち明けられた ゲイの同級生の Valentin は、ある夜、Clémentine をゲイが集まるバーに連れてゆく。 そこで、Clémentine は、かつて、町ですれ違い、一目惚れした、髪の毛をブルーに染めた Emma と出会う。
レズビアンである事を発見した高校生の不安、戸惑い、そして、抑えることの出来ない愛する想いを、彼女の日記という形で、繊細に綴ったストーリー。 ヒロインとその恋人の複雑な想いがよく伝わってきて、ラストでは、涙がこぼれた。
レズビアンである事を発見した高校生の不安、戸惑い、そして、抑えることの出来ない愛する想いを、彼女の日記という形で、繊細に綴ったストーリー。 ヒロインとその恋人の複雑な想いがよく伝わってきて、ラストでは、涙がこぼれた。
【グラフィック・彩色】
白黒、そして、ブルーを基調とし、所々、淡い色調で彩色された、独創的で、かつ優美な彩色法の漫画。 細かい気持ちの彩を、見事に表現したグラフィックも優れているが、この漫画の一番の魅力は、その彩色法にあると思った。 作中人物の心模様を映し出している背景の描き方も傑出している。
【ストーリーボード(ネーム)】
細かな心の動き伝える繊細さと、激しい想いを伝えるダイナミックさの両方を備えている、表現力に長けたストーリーボード。
ストーリーより、作中人物の心の動きにポイントを置いた漫画化手法は、クラシックなBDより、日本の漫画に近い様に感じられた。
ストーリーより、作中人物の心の動きにポイントを置いた漫画化手法は、クラシックなBDより、日本の漫画に近い様に感じられた。
【読み心地】
極めて快適
【読後感】
同性を愛してしまった事により生まれる苦しみ、抑えこむことなど出来ない程強い愛する想い、戸惑い、至福の時間、苦しみ、など、複雑な想いを、切なく描いた表現力に、圧倒された。
レズビアンの女性を描いた漫画としてより、純粋な恋愛漫画として読みたい、恋愛漫画の傑作。
2011年アングレム国際漫画祭『Prix du Public(読者賞)』及び『Prix FNAC SNCF(FNAC(仏チェーン書店)+SNCF(フランス国鉄)賞)』受賞作品であるが、個人的には、2011年アングレム国際漫画祭最優秀賞受賞作よりも、心を動かされた。
レズビアンの女性を描いた漫画としてより、純粋な恋愛漫画として読みたい、恋愛漫画の傑作。
2011年アングレム国際漫画祭『Prix du Public(読者賞)』及び『Prix FNAC SNCF(FNAC(仏チェーン書店)+SNCF(フランス国鉄)賞)』受賞作品であるが、個人的には、2011年アングレム国際漫画祭最優秀賞受賞作よりも、心を動かされた。
【こんな人のお勧め】
同性に惹かれる少女の気持ちをセンシブルに描いた漫画を読みたい方。 独特な彩色の漫画を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 : 4/5
ストーリー : 4/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 5/5
ストーリーボード : 5/5
フランス語難易度 : 1/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
ストーリー : 4/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 5/5
ストーリーボード : 5/5
フランス語難易度 : 1/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
【外部リンク】
- Julie Maroh 公式サイト
- 本書の一部が読めるアマゾン・フランスの「Le bleu est une couleur chaude
」のページ
- 本書の邦訳「ブルーは熱い色 Le bleu est une couleur chaude」のアマゾン・ジャパンの頁
2013年5月26日にカンヌ映画祭受賞についての記述追加+レイアウト修正。 2014年3月10日に邦訳に関して追記。
16:28

著者 : Tom Tirabosco
出版社 : Casterman
本の種類 : ハードカバー(24x1x32)
ページ数 : 64頁
【概要】
村人達から「呪われている」と噂されている屋敷に引っ越してきた、学者夫婦と一人娘を巡るスリラータッチの漫画。
【ストーリー】
パリで暮らしていたFrançois は、妻と娘のClara と共に、かつて両親と暮らしていた田舎の屋敷に引越して来る。 住むところと、食事を提供する代わりに、屋敷の広大な庭の手入れを引き受ける事になった Baptiste という男と、Clara は、仲良くなり、自然を満喫する生活を送っていたのだが、ある夜、Clara は、Baptiste から、森の秘密を開くという鍵を貰い受ける。
不吉な雰囲気を漂わせ進行する、なかなか良くまとまたスリラー。
不吉な雰囲気を漂わせ進行する、なかなか良くまとまたスリラー。
【作画・彩色】
パステルで彩色されたのでは?と、思わせる、独特な肌目の彩色法が用いられている。 可愛いいけれど、どこか不気味さが感じられるキャラクターと、渋めのトーンの彩色が、 ストーリーの不気味な雰囲気を十二分に盛り上げている。
【ストーリーボード】
リズミカル。 ストーリー進行は、グラフィックでなされ、テキストはその補足。
【読み心地】
きわめて快適。
【読後感】
怨念と復讐を軸に展開するストーリーは、良くまとまってはいるのだが、やや平凡。 いや~な雰囲気を盛り上げながら、ストーリーを進行させる、その作画テクニックは、なかなか上手いと思った。
【こんな人にお勧め】
人間が描けているスリラー漫画を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 : 3.5/5
ストーリー : 3/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 4.5/5
ストーリーボード : 4/5
フランス語難易度 : 1.5/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
ストーリー : 3/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 4.5/5
ストーリーボード : 4/5
フランス語難易度 : 1.5/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
【関連記事】
2013年5月28日にレイアウト修正。
- Category
- サスペンス・ホラー系BD
- Thread
- ジャンル : 本・雑誌
- テーマ : フランス漫画(BD)
著者 : Isabelle Jarry
分類 : 恋愛小説
出版社 : Stock
本の種類 : ソフトカバー(13x2x21)
ページ数 : 301頁
3人の子供の世話で多忙な日々を送っている Céleste は、学生時代に、愛人関係があり、15年以上、連絡の途絶えていた、哲学教授の Paul から、連絡を受ける。 余命長くないと、宣告を受けた Paul は、最後の日々を Céleste と共に過ごすことを願っていたのだ。 幸い子供たちは、夏休みで、親戚の家に泊まりに行くことになっているし、夫からも「君にもヴァカンスが必要だ」と、二つ返事で許可を得たCéleste は、Paul と共に田舎の家へ向う。
そこで、Paul から、恋の話をしてくれと乞われた Céleste は、仕事で、ヴェトナムへ赴いた折の経験を語り始める。
かつて激しい愛を分かち合った女性と、人生の最後の一時を過ごしたいと望む老人、彼と過ごした官能的な時間を回想する中年女性、この二人の心理を静かに、そして、情感たっぷりに語った小説。
燃えるような想いを緩やかに綴る、その静謐な筆致に、魅せられ、この作品を読み始めたのだが、あまりに緩やか過ぎる、ストーリー展開に、本書の半ばで、挫折しそうになった。
長さを半分程削り、同じところをぐるぐる回る、だらだらとしたストーリー構成を何とかしたら、もっと良い作品になったのでは・・・と、思いながらも、どのような結末が用意されているか、興味をひかれ、何とか、最後まで、読み切る事が出来たものの、あまりに締まりのないラストにも、失望させられた。 又、老いて衰えた、かつて美しかった愛人の体に対する、ヒロインの思いや、ヒロインの夫に対する気持ちがおざなりな、お話の作りの粗雑さにも、興ざめさせられた。
恋愛小説が好きでない私は、構成のぎこちなさや、ディテールの詰めの甘さばかりが、気になってしまい、以前読んだ、著者の他の作品の様に、作品に没頭する事が出来なかった。 しかし、かつて二人が過ごした愛の日々や、ヴェトナムでの恋の思い出を語った部分は、なかなか読ませるので、恋愛小説が好きな方は、私とは別な感想を持たれるかもしれない。
【こんな人にお勧め】
恋愛小説が好きな方。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 2/5
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 3.5/5(難<易)
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 3.5/5(難<易)
【関連記事】
2013年4月28日にレイアウト修正。
- Category
- 小説・エッセイ・ノンフィクション
- フランス語レベル中級~上級向け
- Tag List
- 恋愛小説

ストーリー : Eric Omond
作画・彩色 : Olivier Supiot
出版社 : Glénat
本の種類 : ハードカバー(30x1x30)
ページ数 : 56頁
【概要】
氷河にかこまれ、身動きがとれなくなった船に乗っていたヴァイキングの戦士と、イヌイットの親子のふれあいを描いた、シュールな物語。
『今までの BDの、枠にとらわれない、新しいコンセプトの、30x30センチの正方形サイズの漫画』を集めた、Glénat出版社の『Collection Carrément BD 』シリーズに含まれる異色のフランス漫画。
『今までの BDの、枠にとらわれない、新しいコンセプトの、30x30センチの正方形サイズの漫画』を集めた、Glénat出版社の『Collection Carrément BD 』シリーズに含まれる異色のフランス漫画。
【ストーリー】
氷河を一人彷徨う、ヴァイキングの戦士は、クマと格闘の末、気を失う。 イヌイットの親子の元で、意識を取り戻した彼は、「自分には、霊がついており、行く先々のものを、破壊してしまう」と、叫び、取り乱す。 「手なずけられない霊など、存在しない」と、シャーマンだと名乗るイヌイットの父親から諭されたヴァイキングは、殺戮に明け暮れた過去を話し始める。
罪の意識に慄く一人の男の心内を描いた、狂気と苦悩が錯綜するストーリー。 ラストが卓抜。
罪の意識に慄く一人の男の心内を描いた、狂気と苦悩が錯綜するストーリー。 ラストが卓抜。
【グラフィック・彩色】
油絵を思わせる、絵の具を幾重にも重ねて描かれた、漫画らしからぬ絵画的なグラフィック。 狂気を具体化したグラフィックは、迫力満点。 氷や、雪を描いた鮮やかな白、狂気を表現する赤・黄色などの色使いが、とてもパワフル。
【ストーリーボード(ネーム)】
大胆でダイナミックでスピード感たっぷり。 絵でストーリー進行がなされ、テキストは、その補足。 ストーリーとグラフィックの魅力が十二分に引き出されている。
【読み心地】
快適。
【読後感】
先に紹介した「Le dérisoire」と、同じコンビよるアーティステックなアプローチで描かれたBD。 ストーリーは、「Le dérisoire」に比べると、少々捻りに欠ける様な気がしたものの、 狂気と殺戮とに支配された、混沌とした主人公の心内を、見事に表現した作画担当の Olivier Supiot さんの画力には、圧倒された。
【こんな人にお勧め】
独創的な漫画を読んでみたい方。 狂気を具象化した漫画を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 : 4/5
ストーリー : 3.5/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 5/5
ストーリーボード : 5/5
フランス語難易度 : 1.5/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
ストーリー : 3.5/5
グラフィック : 4/5
カラーリング : 5/5
ストーリーボード : 5/5
フランス語難易度 : 1.5/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
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2013年5月28日にレイアウト修正。
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