
著者 : Maurice Lévêque
分類 : 独創的な小説
出版社 : Poulpe Edition
本の種類 : ソフトカバー(15x1x21)
ページ数 : 201頁
重犯罪を犯し、未成年矯正施設に収容された 8人の少年と少女の姿を Rainbow と名乗る Slam(スラム)詩人の少年の日記という形で綴った小説。
Slam というのは、低収入者層が多く住むパリ近郊の地区を中心に流行した、音楽に乗せて詩をリズミカルに朗読する、新しい音楽のジャンル。
本書には、この新しい詩と音楽を融合させた Slam(スラム)が効果的に盛り込まれており、Slam 詩人である Rainbow の乾いた口調で、日常茶飯事化した虐待や暴力が少年や少女達の心を歪ませ、内に溜まった憤りとストレスが重犯罪という形で爆発する様が、リズミカルに綴られてゆく。
無慈悲な運命の元、幼年時代を送ることを余儀なくされ、過激な暴力行為という手段でしか自己表現をする術を見つけられず、挙句の果てに凄惨な犯罪を犯し、未成年矯正施設に送り込まれた少年や少女の過去が語られてゆくのだが、彼らの行為を弁護する事なしに、著者は、どうして彼らがそのような行為に走ってしまったのか、読者に理解させる事に成功している。
治すことなど出来やしないほど壊れてしまった心を持った少年少女の妥協を許さない激烈な生き様を、ビートに乗せてカラッと描いた小説。
冒頭と巻末の少年裁判所の判事の言葉が、飄々とした Rainbow の手記に、文鎮のような重みを加えている。
読み易いフランス語で書かれているが、俗語が多いので、フランス語難易度は『難しめ』になっている。
【こんな人にお勧め】
Slam(スラム)が効果的に使われている小説を読みたい方。 アウトローな少年少女が主人公の小説を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 3.5/5
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
フランス語難易度 : 4/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
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