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♥ Coup de coeur ♥
「La fractale des raviolis」
著者 : Pierre Raufast
出版社 : Alma
本の種類 : ソフトカバー(13.5x2x18.5)
ページ数 : 264頁
本書を読んでいて、脳裏に浮かんだのは、マトリョーシカ(matriochka)の名称で、日本でもフランスでも知られている、ロシア製の入れ子人形。
ご存知の方も多い事と思うが、マトリョーシカ人形というのは、木で出来ているほぼ柱体形の人形の入れ物。 人形の胴体の上の部分が蓋のようになっており、中には少し小さい、同じような人形が入っている。 そして、中に入っている人形の中には、これまた、それより小さい同様の人形が入っている・・・という風に入れ子になっているロシアの民芸品である。
この小説も、表紙という1番外側の人形の蓋を開けると、初めの短編小説が入っており、初めの短編小説の蓋を開けると、その中に二番目の短編が入っている、そして二番目の短編の蓋を取ると、そこに三番目の短篇が入っている・・・・という風な、マトリューシカ人形みたいな構造になっている。
ところが、マトリューシカ人形の、蓋になっている胴体の上の部分は、開けられるけれど、胴体の下の部分を取り出さずに、著者は、さらに、次の人形の蓋を開けてしまう。
「ええ! この話の続きどうなるのぉ!!!」
と、思いつつも、次の短編を読み進んでゆくと、又、
「ええ! こちらの話の続きは!!!」
と、叫びたくなってしまう展開。
そして、さらに次の短編でも・・・・
ちょっとぉ~、人の興味を散々惹いておいて、ちゃんと最後には、責任とってくれるんでしょうねぇ~、と、愚痴をたれながら、著者の罠にまんまとハマってしまい、ページをめくる手を止める事が出来ず、一気に読み干してしまった。
結果から言うと、今まで読んだ事のない、独創的な構成の連作短編集。 連作短編集としての独創的な構成もさることながら、ぶっ飛んでるけれど、オチが効いたラストも最高。 そして、それぞれの短編も、完成度が高く、独創性に富んでいる。
合計23の短編小説が収録されているのだが、(初めと最後の小説はそれで一つのお話を構成しているので、厳密には22)その大半のお話には、著者によりでっち上げられた、実在していないけど、いかにもありそうな事象が盛り込まれているのだが、それがホント美味。
それにしても、良くこんな事思いついたなぁ~と、著者のクリエイティブ性には脱帽。
『AUTOPORTRAIT』と題された、あとがきには、夜、娘達を寝かしつけるために、自分で思いついたお話をしていたのだが、今度は、大人のための話を作りたくなり、本書を記した、と書かれていたが、こんなお父さんを持った子供はホント幸せ!
これまで読んだ『連作』短編集の中、少なくとも三本の指に入る作品。 本書が Pierre Raufast 氏の処女作にあたるという事だが、処女作とは信じがたい完成度の高さなので、独創性、そして完成度に長けた連作短編集を読みたいとお思いの方に、是非、お勧めしたい一冊である。
【こんな人にお勧め】
【きわめて個人的な本の評価】
【関連記事】
【外部リンク】
「La fractale des raviolis」
著者 : Pierre Raufast
出版社 : Alma
本の種類 : ソフトカバー(13.5x2x18.5)
ページ数 : 264頁
本書を読んでいて、脳裏に浮かんだのは、マトリョーシカ(matriochka)の名称で、日本でもフランスでも知られている、ロシア製の入れ子人形。
ご存知の方も多い事と思うが、マトリョーシカ人形というのは、木で出来ているほぼ柱体形の人形の入れ物。 人形の胴体の上の部分が蓋のようになっており、中には少し小さい、同じような人形が入っている。 そして、中に入っている人形の中には、これまた、それより小さい同様の人形が入っている・・・という風に入れ子になっているロシアの民芸品である。
この小説も、表紙という1番外側の人形の蓋を開けると、初めの短編小説が入っており、初めの短編小説の蓋を開けると、その中に二番目の短編が入っている、そして二番目の短編の蓋を取ると、そこに三番目の短篇が入っている・・・・という風な、マトリューシカ人形みたいな構造になっている。
ところが、マトリューシカ人形の、蓋になっている胴体の上の部分は、開けられるけれど、胴体の下の部分を取り出さずに、著者は、さらに、次の人形の蓋を開けてしまう。
「ええ! この話の続きどうなるのぉ!!!」
と、思いつつも、次の短編を読み進んでゆくと、又、
「ええ! こちらの話の続きは!!!」
と、叫びたくなってしまう展開。
そして、さらに次の短編でも・・・・
ちょっとぉ~、人の興味を散々惹いておいて、ちゃんと最後には、責任とってくれるんでしょうねぇ~、と、愚痴をたれながら、著者の罠にまんまとハマってしまい、ページをめくる手を止める事が出来ず、一気に読み干してしまった。
結果から言うと、今まで読んだ事のない、独創的な構成の連作短編集。 連作短編集としての独創的な構成もさることながら、ぶっ飛んでるけれど、オチが効いたラストも最高。 そして、それぞれの短編も、完成度が高く、独創性に富んでいる。
合計23の短編小説が収録されているのだが、(初めと最後の小説はそれで一つのお話を構成しているので、厳密には22)その大半のお話には、著者によりでっち上げられた、実在していないけど、いかにもありそうな事象が盛り込まれているのだが、それがホント美味。
それにしても、良くこんな事思いついたなぁ~と、著者のクリエイティブ性には脱帽。
『AUTOPORTRAIT』と題された、あとがきには、夜、娘達を寝かしつけるために、自分で思いついたお話をしていたのだが、今度は、大人のための話を作りたくなり、本書を記した、と書かれていたが、こんなお父さんを持った子供はホント幸せ!
これまで読んだ『連作』短編集の中、少なくとも三本の指に入る作品。 本書が Pierre Raufast 氏の処女作にあたるという事だが、処女作とは信じがたい完成度の高さなので、独創性、そして完成度に長けた連作短編集を読みたいとお思いの方に、是非、お勧めしたい一冊である。
【こんな人にお勧め】
独創性の高い連作短編集を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 4.5/5
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 4.5/5(難<易)
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 4.5/5(難<易)
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