フランス語の本の読書記録 : Archives [ 2017年04月 ]

フランス語の小説、漫画、エッセイ等の読書の記録

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想像力を縦横無尽に駆使したファンタジー冒険漫画「Azimut」第3巻

15:04

♥ Coup de coeur ♥
表紙写真azimut3「Azimut - Tome 3 : Les Anthropotames du Nihil」

ストーリー : Wilfrid Lupano
作画・彩色 : Jean-Baptiste Andreae

分類 : ファンタジー系漫画、ファンタスティック系漫画、冒険漫画、彩色が素敵な漫画、お勧め漫画

出版社  : Vents d'Ouest
本の種類 : ハードカバー(24x1x32)
ページ数 : 48頁


【概要】
人語を話す奇妙な生き物と人間が共存する、架空の世界を舞台に、繰り広げられるファンタジー・冒険漫画「Azimut」第3巻。

【ストーリー】
Arracheur du temps と契約を交わし、永遠の若さを手に入れた悪女の Manie と、彼女への愛憎の念に苛まれる画家の Esteban は、Manie のお付きの動物達と共に、苦しみと悲しみに支配される Chagrin 男爵の城を脱出するのに成功する。  しかし、砂漠にたどり着いた彼らは、又、追われる身となってしまう。

北極そのものの存在である、うさぎの Pole が、Manie に恋い焦がれ彼女の後を追い、北極を離れたため、世界は方角を失った。 冒険家の Major Oreste は、Pole に北極へ帰るよう説得を試みるが、 Pole は聞く耳を持たず、Major Oreste の元を逃げ出した。  Pole の後を追い砂漠へとやって来た Major Oreste は、Pole が、砂漠の支配者である Baba Arbiche の囚われの身となっているのを知る。  Major Oresteは、なんとか Baba Arbiche を説得し、Pole を解放するのに成功する。  
そして、自由になったPole を伴い砂漠を歩いていた Major Oreste は、Primordiaux と呼ばれる永遠の命を持つ生物の一員である巨大な砂の女王と再会する。  ところが Pole は、今度は、砂女王に一目惚れしてしまう。

傍若無人に振る舞い、世界中を混乱を巻き起こす自分の娘 Manie の命を絶つ事に決めた女王 Ether は、軍隊を率い、Manie の後を追う。

一方、父の死の原因となった伝説の鳥 La belle Lurette の卵を探し求める Aristide と、メカ卵から生まれた少年が乗る Laps 号は、現地人の襲撃を受けていた。

【グラフィック・彩色】
淡い色調の細密なカラーリングが魅力的な、細いラインで描写されている個性的なグラフィック。  
奇妙な動物や鳥、様々な人種の人類、奇妙な機械仕掛けのマシンなど、独創的な創造物が、巧みに描かれている。
これこそBDを読む醍醐味!と言いたくなる、オリジナリティーに満ちたグラフィックが存分に楽しめた。

【ストーリーボード(ネーム)】
変化に飛んでおり、ダイナミック。

【読み心地】
まずまず。 
第2巻を読んだ時には、1巻目の内容を忘れてしまっており、ストーリーを理解するのに、少しばかり苦労したので、今回は、1、2巻を読み直してから3巻目に取り掛かった。  その甲斐あり、今回は、すんなりストーリーを理解出来た。

ただ、巻数が増えると、新しい巻が出る度に、1巻から読み直すのはしんどいので、この手の登場人物が多く、ストーリーが少々込み入っている漫画には、これまでのあらすじ、又は、主な登場人物達の説明を巻頭につけてもらいたいものである。

【読後感】
空想の生き物が沢山登場するファンタジー冒険漫画「Azimut」第3巻。  先に紹介した2冊と同様、ミステリアスな生き物達や、魔性の美女が入り乱れ、縦横無尽に繰り広げられる遊び心たっぷりのストーリーは、読み応えタップリ。

そして、斬新奇抜に想像力を駆使し、編み上げられたストーリーの持つ魅力を倍増させているのは、細かく筆入れがされている彩色技術+作画テクニック。 

砂の巨大美女、半分が機械の鳥や亀や、人語を話す奇妙な動物達、そして色々な種族の人類など、登場するキャラクターは勿論の事、人間によった発明された風変わりなメカや、背景として書き込まれている風景などを描いた、超一級の作画技術が味わえた。

今後の展開が非常に期待できるので、第4巻を読むのが楽しみ。 

【こんな人のお勧め】
想像力を縦横無尽に駆使したファンタジー冒険漫画を読みたい方。  「Terre Mécannique : Intégrale」が気に入られた方。
 
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価     : 4.5/5
ストーリー    : 4/5
グラフィック   : 4/5
カラーリング   : 5/5
ストーリーボード : 3.5/5
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち    : 3.5/5(難<易)

【関連記事】
  • 「Azimut, Tome 1 : Les aventuriers du temps perdu」
  • 「Azimut, Tome 2 : Que la belle meure」
  • 著者名別索引・BD 【著者名 A】Jean-Baptiste Andreae
  • 著者名別索引・BD 【著者名 L】Wilfrid Lupano

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フランス版『虚構新聞』の様なサイト『Le Gorafi』の書籍版

16:50

表紙写真legourafi「Le gorafi de l'année 2017」

著者 : Jean-François Buissière

分類 : エッセイ、ブラックユーモア、多読

出版社  : FLAMMARION
本の種類 : ソフトカバー(16x2.3x22)
ページ数 : 237頁


日本、アメリカを初めとし、偽ニュースサイトは世界各国のネットを賑わせているが、フランスもその例にもれない。  今日紹介するのは、フランスの有名新聞『Figaro』のアナグラムである『Le Gorafi』をサイト・ネームに掲げる、フェイク・ニュースのみを発信するサイト『Le Gorafi』編集部から2016年に出版された本である。

『Le Gorafi』のサイトでは、フランスの時事ニュースにインスパイアされ、書かれた偽ニュースが、毎日アップされているが、本書は、2017年に書かれるであろうと予測して、2016年に書いた記事が収録されている。

「Contestant les résultats de la primaire, l'ensemble des candidats donnés perdants se maintient à l'éléction présidentielle」
(プライマリー選挙の結果に異議、落選した候補者全員が大統領選挙への出馬を表明)」

「78% des Français ont déjà une mauvaise opinion du futur président de la République
(78%のフランス人は、既に将来の大統領に批判的)」

「Sujet du bac de philo :
"Les études de philosophie mènent-elles directement au chômage ?"
(バカロレア試験の哲学の論述試験問題 :
哲学の専門課程は、失業への一本道?)」

「Réchauffement climatique : le nord de la France pourrait devenit habitable dès 2035
(地球の温暖化 :
フランス北部が2035年には居住可能に)」

「Dopage interdit : les organisateurs annoncent que les coureurs auront six mois pour terminer le Tour de France
(ドーピング禁止 :
運営は、選手にツー・ドゥ・フランス完走へ6ヶ月設けると通告)」


等など、タイトルを読むだけで、フランスの時事やフランス人気質に精通している者なら、思わず腹を抱えて笑ってしまう記事が掲載されている。

偽ニュースなのだから、当たり前と言ってしまえば当たり前なのだが、どの記事も、ちんちくりんな内容が、きっちりとニュース記事の定番を踏み、至極真面目な文体で書かれている。

そんな訳で、笑いながら、ジャーナリスティックな文体に親しめるので、日ごろ常々、ニュース記事は読みにくいとお思いの方は、この手の記事を読みながらウォームアップ、という風に本書を活用出来るかもしれない。

記事の間には、絶望的な未来を予言する『星占い』や、偽広告記事なども挿入されており、遊び心満杯。

中には、あまりに盛り過ぎで、あまり笑えない記事や、ユーモアのポイントがずれていて、今ひとつ笑えない記事なども見られたが、人の好みは十人十色。 不特定多数を対象に書かれた書籍なので、これは仕方ない事なのかもしれない。

しかし、やはりファイク・ニュースは鮮度が命。  今読むと、あまり笑えない記事もかなり認められた。  しかし、『Le Gorafi』では、定期的にフェイクニュースが更新されているので、本書に興味を持たれたなら『Le Gorafi』のサイトを、一度覗いてみる事をお勧めしたい。

【こんな人にお勧め】
フランス製フェイクニュースを集めた本を読みたい方。 笑いながらジャーナリスティックな文章に親しみたい方。

【きわめて個人的な本の評価】
作品評価     : 2.5/5
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち    : 4/5(難<易)

【外部リンク】
http://www.legorafi.fr/

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