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♥ Coup de coeur ♥
「Je mourrai pas gibier
」
著者 : Paul Alfred
原作 : Guillaume Guéraud

著者 : Paul Alfred
原作 : Guillaume Guéraud
出版社: Delcourt
本の種類: ハードカバー(20x1x26)
ページ数: 111頁
ワイン畑と、製材所の2つの会社しかない、人口1200人のちっぽけなフランスの村に生まれ、ヴァイオリン職人になりたかったけれど、「ヴァイオリン職人なんてオカマの仕事」と、家族に馬鹿にされ、反対されたため、メカ関係の職業高校へ通っている、おとなしい1人の少年が、兄の結婚式パーティーの最中に猟銃を乱射し、招待客を皆殺しにするに到る軌跡を語った、Guillaume Guéraud 氏の小説の漫画化。 2010年アングレム国際漫画フェスティヴァル、Sélection Officielle(公式セレクションノミネート作品。
自分の育った村に住む人々や、家族に対して、主人公が抱いていた違和感が嫌悪に、そして、嫌悪が憎悪に代わり、狂気の導火線へ発火してゆく様子が、荒いタッチのグラフィックで、心に杭を打ち込むように描かれてゆきます。 読んでいるうちに、自然と主人公に感情移入してしまい、自分の心に怒りの火が点き、憤慨の炎が燃え上がるのを感じ、
「理由なんか、いくらでも見つかる、そのための専門家がいる。それは僕の仕事じゃない」
そんな言葉では説明する事の出来ない衝動に駆られ、無差別殺人へと走ってしまった主人公の『動機』を、分かち合ってしまいました。
私は、Guillaume Guéraud 氏の原作は読んでいないけれど、こんな素晴らしい漫画にしてもらったのは、作家冥利に尽きると思ったほど、見事な漫画化。
やり切れなくなるほど、ひたすら暗い話なのだけれど、静かな怒りが狂気へと変貌してゆく様子を顕著に表した、これこそ心理漫画の傑作だと、感嘆しました。
それにしても、このバンド・デシネの元になった Guillaume Guéraud 氏の小説が、中高生向けのシリーズに入っていた作品だというのには、ちょっとびっくりしましたね。 これは、ノワール本場のフランスだから、可能なのであって、日本では、絶対に考えられないことだと思います。
非常に優れた作品なのですが、とにかく、ただひたすら暗いので、すっきり感やカタルシスを読書に求める方には、あまりお勧め出来ないタイプの漫画です。 しかしながら、フランス語初心者でも、無理なく読めるやさしいフランス語で書かれているBDなので、ノワールの好きなフランス語初心者には、一押し、お勧めしたい一冊です。
【こんな人にお勧め】
【きわめて個人的な本の評価】
【関連記事】
【外部リンク】
2010年5月19日に一部加筆修正。 2013年3月28日にレイアウト修正。
本の種類: ハードカバー(20x1x26)
ページ数: 111頁
ワイン畑と、製材所の2つの会社しかない、人口1200人のちっぽけなフランスの村に生まれ、ヴァイオリン職人になりたかったけれど、「ヴァイオリン職人なんてオカマの仕事」と、家族に馬鹿にされ、反対されたため、メカ関係の職業高校へ通っている、おとなしい1人の少年が、兄の結婚式パーティーの最中に猟銃を乱射し、招待客を皆殺しにするに到る軌跡を語った、Guillaume Guéraud 氏の小説の漫画化。 2010年アングレム国際漫画フェスティヴァル、Sélection Officielle(公式セレクションノミネート作品。
自分の育った村に住む人々や、家族に対して、主人公が抱いていた違和感が嫌悪に、そして、嫌悪が憎悪に代わり、狂気の導火線へ発火してゆく様子が、荒いタッチのグラフィックで、心に杭を打ち込むように描かれてゆきます。 読んでいるうちに、自然と主人公に感情移入してしまい、自分の心に怒りの火が点き、憤慨の炎が燃え上がるのを感じ、
「理由なんか、いくらでも見つかる、そのための専門家がいる。それは僕の仕事じゃない」
そんな言葉では説明する事の出来ない衝動に駆られ、無差別殺人へと走ってしまった主人公の『動機』を、分かち合ってしまいました。
私は、Guillaume Guéraud 氏の原作は読んでいないけれど、こんな素晴らしい漫画にしてもらったのは、作家冥利に尽きると思ったほど、見事な漫画化。
やり切れなくなるほど、ひたすら暗い話なのだけれど、静かな怒りが狂気へと変貌してゆく様子を顕著に表した、これこそ心理漫画の傑作だと、感嘆しました。
それにしても、このバンド・デシネの元になった Guillaume Guéraud 氏の小説が、中高生向けのシリーズに入っていた作品だというのには、ちょっとびっくりしましたね。 これは、ノワール本場のフランスだから、可能なのであって、日本では、絶対に考えられないことだと思います。
非常に優れた作品なのですが、とにかく、ただひたすら暗いので、すっきり感やカタルシスを読書に求める方には、あまりお勧め出来ないタイプの漫画です。 しかしながら、フランス語初心者でも、無理なく読めるやさしいフランス語で書かれているBDなので、ノワールの好きなフランス語初心者には、一押し、お勧めしたい一冊です。
【こんな人にお勧め】
本場のノワール漫画を読みたい方。 心理描写に長けている漫画を読みたい方。 フランス語初心者。
【きわめて個人的な本の評価】
総合評価 : 4/5
ストーリー : 3.5/5
グラフィック : 5/5
カラーリング : 4/5
ストーリーボード : 3/5
フランス語難易度 : 1/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
ストーリー : 3.5/5
グラフィック : 5/5
カラーリング : 4/5
ストーリーボード : 3/5
フランス語難易度 : 1/5(易<難)
読みごこち : 5/5(難<易)
【関連記事】
【外部リンク】
2010年5月19日に一部加筆修正。 2013年3月28日にレイアウト修正。
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