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著者 : Didier Van Cauwelaert
分類 : 恋愛小説
出版社 : Livre de Poche
本の種類 : ペーパーバック
ページ数 : 317頁
フランス文壇で、確固たる位置を占めている、文芸評論家の Frédérique Lahnberg は、病院で昏睡状態にある妻 Dominique が、死亡したとの連絡を受ける。
Frédérique は、波がない平穏な関係ではなかったもの、18歳の時から、共に人生を歩んできた、最愛の Dominique の死を受け入れる事が出来ない。
Dominique への思いを断ち切る事が出来なく、悶々とした毎日を送るFrédérique は、ある日、出版社から転送された手紙を受け取る。
その手紙は、Frédérique が18歳の時に、Dominique と共著し、Richard Glen のペンネームで出版した小説を読んだ、18歳になるベルギーのBruges に住む、Karine という読者からのものだった。
そして、その手紙をきっかけに、Frédérique は、Richard Glen という、男をつくり上げ、Richard Glen になりすまし、一人二役を演じる事にしたのだが・・・
ニースの団地で育ち、両親から捨てられたという過去を持つ主人公の半生を、彼の亡き妻との思い出に絡め合わせて、たどりながら、かつて、亡き妻と共に作り出したRichard Glen という男を生き返らせる事で、主人公が、新たな自分と人生を見出してゆく過程を、一人の読者との愛に絡めて語ったセンシビリティーに溢れている恋愛小説。
繊細な文章で綴られた主人公の心の動きをメインにストーリーは展開していくのですが、私には、本筋には直接関係のない、病院で昏睡状態の人々への訪問をボランティアで行っている Bruno Pitoun、主人公を文学へいざなった教師、 オーケストラの指揮者の彼の義父、Frédérique の変った友人達等々、脇役に関するエピソードの方が、面白く感じられました。
この本、つまらないわけではないのですが、読み出すと、すぐ眠くなってしまう、催眠効果がある不思議な本。
キラキラ光りながら、ゆらゆら揺れる水面を見ているみたいな、響きを持つ文章を読んでいると、催眠術にかかったみたいに、なぜかまぶたが重くなってしまうのでした。
この作家は、言葉にすると壊れてしまいしょうな、微妙な心動きを文章に置き換えるのが本当にうまい!
とは、思うのですが、同じトーンで、延々と、主人公の心理描写が続き、ストーリーにも、あまりメリハリが感じられないので、恋愛小説が苦手な私には、正直言って、長く続けて読むのが、少々しんどく感じられました。
それでも、きっと、心を大きく揺さぶられる何かあるのでは・・・と、期待して、ラストまで読んでみたのですが、苦労は報われませんでした。
一本筋が通った何かを小説に求めてしまう私には、なんとも物足りなく感じてしまった作品。
それでも、フランス文壇の有名人が実名で登場したり、ベストセラーが人為的に生み出されてゆく様や、文学に関する色々な薀蓄が含まれていたりするので、その手の話題に興味のある方、又は、恋愛小説が好きな方には、お勧めできる作品かもしれません。
【こんな人にお勧め】
【きわめて個人的な本の評価】
【関連記事】
2010年7月6日に一部加筆修正。 2013年4月29日にレイアウト修正。
本の種類 : ペーパーバック
ページ数 : 317頁
フランス文壇で、確固たる位置を占めている、文芸評論家の Frédérique Lahnberg は、病院で昏睡状態にある妻 Dominique が、死亡したとの連絡を受ける。
Frédérique は、波がない平穏な関係ではなかったもの、18歳の時から、共に人生を歩んできた、最愛の Dominique の死を受け入れる事が出来ない。
Dominique への思いを断ち切る事が出来なく、悶々とした毎日を送るFrédérique は、ある日、出版社から転送された手紙を受け取る。
その手紙は、Frédérique が18歳の時に、Dominique と共著し、Richard Glen のペンネームで出版した小説を読んだ、18歳になるベルギーのBruges に住む、Karine という読者からのものだった。
そして、その手紙をきっかけに、Frédérique は、Richard Glen という、男をつくり上げ、Richard Glen になりすまし、一人二役を演じる事にしたのだが・・・
ニースの団地で育ち、両親から捨てられたという過去を持つ主人公の半生を、彼の亡き妻との思い出に絡め合わせて、たどりながら、かつて、亡き妻と共に作り出したRichard Glen という男を生き返らせる事で、主人公が、新たな自分と人生を見出してゆく過程を、一人の読者との愛に絡めて語ったセンシビリティーに溢れている恋愛小説。
繊細な文章で綴られた主人公の心の動きをメインにストーリーは展開していくのですが、私には、本筋には直接関係のない、病院で昏睡状態の人々への訪問をボランティアで行っている Bruno Pitoun、主人公を文学へいざなった教師、 オーケストラの指揮者の彼の義父、Frédérique の変った友人達等々、脇役に関するエピソードの方が、面白く感じられました。
この本、つまらないわけではないのですが、読み出すと、すぐ眠くなってしまう、催眠効果がある不思議な本。
キラキラ光りながら、ゆらゆら揺れる水面を見ているみたいな、響きを持つ文章を読んでいると、催眠術にかかったみたいに、なぜかまぶたが重くなってしまうのでした。
この作家は、言葉にすると壊れてしまいしょうな、微妙な心動きを文章に置き換えるのが本当にうまい!
とは、思うのですが、同じトーンで、延々と、主人公の心理描写が続き、ストーリーにも、あまりメリハリが感じられないので、恋愛小説が苦手な私には、正直言って、長く続けて読むのが、少々しんどく感じられました。
それでも、きっと、心を大きく揺さぶられる何かあるのでは・・・と、期待して、ラストまで読んでみたのですが、苦労は報われませんでした。
一本筋が通った何かを小説に求めてしまう私には、なんとも物足りなく感じてしまった作品。
それでも、フランス文壇の有名人が実名で登場したり、ベストセラーが人為的に生み出されてゆく様や、文学に関する色々な薀蓄が含まれていたりするので、その手の話題に興味のある方、又は、恋愛小説が好きな方には、お勧めできる作品かもしれません。
【こんな人にお勧め】
恋愛小説が好きな方。 フランスの文壇事情に興味のある方。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 4/5
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 2/5(難<易)
フランス語難易度 : 2/5(易<難)
読みごこち : 2/5(難<易)
【関連記事】
2010年7月6日に一部加筆修正。 2013年4月29日にレイアウト修正。
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