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両親がドイツ人の、パリに暮らす中学1年生の Ernest Wommel が、この小説の主人公。
Ernest は、両親が、ドイツ人なので、幼稚園時代から、学校で、ナチ扱いされ、いじめられ続けてきた。
だけど、Ernest は、ドイツの親戚にあった事はないし、家では、ドイツの話題はまったく出ないし、両親も彼が生まれた時からフランス語しか話さないので、Ernest は、ドイツ語が話せない。
彼の兄、Max は、自分はフランスに生まれたフランス人だと自覚しており、ドイツに全く興味がなく、第二外国語にも、スペイン語を選択した。
だが、中学生になった時、Ernest は、第二外国語に、ドイツ語を選ぶことにした。
そして、中学3年生になった Ernest は、彼の中学とドイツの中学校の交換留学生システムのため、ドイツにホームステイすることになる。
1人の少年の成長の記録を辿りながら、彼が両親とその家族の隠れた過去を探って行く様子を語った作品。
この本、どこかの書評に、13歳以上の子供向けのお勧め本として載っていたので、読む気になりました。 一つの章の長さが、1ページから数ページと大変短くて、易しいフランス語で書かれているので、子供にでも無理なく読む事が出来ますが、取り扱っているテーマは、子供にも理解出来る範囲内だけど、どちらかというと大人向き。 だけど、2人の子供を持つ親としては、ちょっとこれは、中学生になったとはいえども、子供に読ませたらまずいんじゃないの・・・というシーンが出て来る、という、微妙な本です。
そのため、私としては、子供さんにはお勧め出来ない本だと思いました。
この本を子供へのお勧め本に推薦した、フランス人はかなり、リベラルなセックス感覚をもっている人だと、思いましたね。
第二次世界大戦の戦争責任に対する国民共通の認識が、未だに、はっきりと確定していない日本と違い、ドイツでは、第二次大戦の戦争責任は、ナチスにある、ドイツ国民は、そのプロパガンドに踊らされ、ナチスの暴走を押さえられなかったという責任はあるけれど、真の戦争犯罪の責任は、ナチスにあるという、国民的認知がはっきりと確立されています。
だから、ナチスに過去、係わりを持っていた人々を家族に持つ者達には、かなり、大きなトラウマがあるようです。
この本を読んで、そんな傷のため、苦しんでいる人たちも、一種の戦争の被害者なのではないかと、思いました。
だけど、そんな重いテーマを、ドイツ人でありながら、祖国を知らずに育った一人の少年の成長の記録と共に、さわやかな文章で、書き綴った小説。
戦争の残した傷が、作品の奥に流れてはいるものの、決して糾弾調にも、お涙頂戴調にも、流れない所がとてもいいと思いました。
流れるような読み心地の本なので、多読用にもお勧めしたい一冊です。
【こんな人にお勧め】
多読用。
【きわめて個人的な本の評価】
2010年10月16日に一部加筆修正。
Ernest は、両親が、ドイツ人なので、幼稚園時代から、学校で、ナチ扱いされ、いじめられ続けてきた。
だけど、Ernest は、ドイツの親戚にあった事はないし、家では、ドイツの話題はまったく出ないし、両親も彼が生まれた時からフランス語しか話さないので、Ernest は、ドイツ語が話せない。
彼の兄、Max は、自分はフランスに生まれたフランス人だと自覚しており、ドイツに全く興味がなく、第二外国語にも、スペイン語を選択した。
だが、中学生になった時、Ernest は、第二外国語に、ドイツ語を選ぶことにした。
そして、中学3年生になった Ernest は、彼の中学とドイツの中学校の交換留学生システムのため、ドイツにホームステイすることになる。
1人の少年の成長の記録を辿りながら、彼が両親とその家族の隠れた過去を探って行く様子を語った作品。
この本、どこかの書評に、13歳以上の子供向けのお勧め本として載っていたので、読む気になりました。 一つの章の長さが、1ページから数ページと大変短くて、易しいフランス語で書かれているので、子供にでも無理なく読む事が出来ますが、取り扱っているテーマは、子供にも理解出来る範囲内だけど、どちらかというと大人向き。 だけど、2人の子供を持つ親としては、ちょっとこれは、中学生になったとはいえども、子供に読ませたらまずいんじゃないの・・・というシーンが出て来る、という、微妙な本です。
そのため、私としては、子供さんにはお勧め出来ない本だと思いました。
この本を子供へのお勧め本に推薦した、フランス人はかなり、リベラルなセックス感覚をもっている人だと、思いましたね。
第二次世界大戦の戦争責任に対する国民共通の認識が、未だに、はっきりと確定していない日本と違い、ドイツでは、第二次大戦の戦争責任は、ナチスにある、ドイツ国民は、そのプロパガンドに踊らされ、ナチスの暴走を押さえられなかったという責任はあるけれど、真の戦争犯罪の責任は、ナチスにあるという、国民的認知がはっきりと確立されています。
だから、ナチスに過去、係わりを持っていた人々を家族に持つ者達には、かなり、大きなトラウマがあるようです。
この本を読んで、そんな傷のため、苦しんでいる人たちも、一種の戦争の被害者なのではないかと、思いました。
だけど、そんな重いテーマを、ドイツ人でありながら、祖国を知らずに育った一人の少年の成長の記録と共に、さわやかな文章で、書き綴った小説。
戦争の残した傷が、作品の奥に流れてはいるものの、決して糾弾調にも、お涙頂戴調にも、流れない所がとてもいいと思いました。
流れるような読み心地の本なので、多読用にもお勧めしたい一冊です。
【こんな人にお勧め】
多読用。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 | : | (4/5) | |
フランス語難易度 | : | (3/5) | 易<難 |
読みごこち | : | (4/5) | 難<易 |
2010年10月16日に一部加筆修正。
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